誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

籠り物語

「おはようございます」
どこでもこういう使われ方はするのだろうが、仕事が始まるという意味でこの挨拶と決まっている。

 

厨房へ入り専用のスリッパに履き替え、まず手を洗う。
「何からすれば良いですか?」コンロの前に居る康之さんに尋ねる。


「タカシはわかるな?今日30な!」
そう言われたタカシはせっせと食器の入った乾燥機付きの棚を開け作業を始めた。
「卓はおれと米取りに行こう、付いてきて」
「はい」
そうすると康之さんは乾燥室へと向かった。


卓も後について行く。乾燥室にあるなら指示だけで良いのでは?
そう思いながら乾燥室へと入ると、康之さんは自分のウェアを着ていた。
卓は戸惑った。
「倉庫まで行くからウェア着ていくで」
言われるがままに自分のウェアに袖を通し、後について玄関を出た。

 

外は吹雪いてはいない物の大雪。
ふわりと舞う雪は身体にすっとまとわりつく、数秒もすれば身体に雪が積もる程だった。

 

黙って歩いて行く康之さんについて行くと、神戸屋から50メートル程の場所に倉庫があった。

康之さんは立て付けの悪い引き戸をがらがらと開ける。
カビの臭いと埃が立ち込める倉庫の隅に紙の袋に入った米の袋があった。
「これ厨房まで持ってきて、次から持って来て言うたらここにあるから、じゃっ、よろしく」
そう言い残し夕食の調理に戻って行った。

 

康之さんはコルチナスキー場のグリーンプラザというお城のような外観が特徴のホテルでコックをしていた経歴があり、神戸屋の料理は康之さんが担当しているのだ。

 

卓は言われた通り米を運ぶ事にした。
見るからに大きい米袋には30kgの文字が。
「30kg…嘘やろ…」
卓はため息混じりに呟く。
距離は50メートル程とたいした事は無いのだが、ここへくる道のりは下り坂だ。更には大雪のため膝まで雪が積もっていた。
その道を30kgの米を担いで戻るのはたいそう骨が折れる作業だった。

 

さっそく米を担いでみる。50kgしかない卓の体重の半分以上の米はずっしりと卓にのし掛かる。


なんとか倉庫の引き戸を締め歩き始める。

「歩いてきた跡辿ればまだマシやろ」
その安易な発想は無惨にも大雪に飲み込まれるのだ。
すでにほとんど埋め直されていた。

 

諦めて雪を足で掻き分けながら進む。
数十歩歩いては休む。呼吸は荒くなり、氷点下の元でも汗が滴り落ちる。

やっとの思い出玄関へ辿り着いた頃には、雪と汗でびっしょりだった。


卓は早く切り上げて休んでおいて良かったと思った。

乾燥室でウェアを脱ぎ、全身の雪を払い落とし、再び米を担いで厨房へと帰還した。