誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

籠り物語

二人を乗せた神戸屋のバンはゲレンデに着いた。
「帰りはシャトルバスあるからそれに乗って帰ってきなさい。夕方の仕事は16時からやから遅れないように」

「ありがとうございました。」
礼を言うなりオーナーはそそくさと帰って行った。


卓はシーズン券を申し込んでいたのだが、シーズン券はゲレンデで引換券と交換してもらうシステムになっている。

 

「シーパス交換してくるから先滑っといて」
タカシにそう告げ事務所を探してレストハウスへと向かった。

 

タカシと別れ無事シーズン券の交換を済ませた卓はゴンドラへと向かった。


卓のいつものルーティーンは一本目にゴンドラへ乗り、山頂までの間に缶コーヒーを飲みながら、ブーツを絞めたり準備するのがお決まりだった。
栂池のゴンドラは長い事でも有名で約20分程時間がある。
その事も卓のルーティーンの要因となっていた。

 

山頂へ着く頃には準備万端。
ここ数日降り続いて居たお陰で上質なパウダースノーが広がっていた。
その深さは背の低い卓の腰辺りまであった。
「初日から腰パウとかたまらんやん」
嬉しさのあまり独り言を会話をする程の声量で発していた。
だが卓にはそんな事は全く関係なく、ボードの金具を留め、軽くストレッチをすると我慢出来ずにドロップインした。

 

冷え込みが強く、雪質は良く非常に軽い。
上質なパウダーとはこの事である。

 

ノートラックのパウダーを一度も止まる事なく滑り続ける。
軽い雪はスプレーを上げふわりと煙の如く宙を舞う、深いパウダースノーは滑るというより、まるで宙を浮いているような空を飛んでいるような不思議な感覚を持たらす。

ノートラックの雪面に描かれるライン、宙を舞うパウダーはキラキラと光輝き、まるで一枚の絵画のような景色だ。

 

山頂からノンストップで滑り降りた卓は、雪にまみれた身体をその場に投げ出し、空を見上げた。
「一本目から…はぁ…飛ばしすぎたな…」
倒れ込んだ卓は胸を大きく膨らませながら、極上の一時の余韻に浸っていた。
快晴で晴れ渡っている訳ではなかったが、この時ばかりは晴れ渡ったような清々しさに包まれていた。

 

降り積もる雪を身体に受けながら、こんな日々が続く事に幸せを感じずには居られなかった。