誉の日記的物語

日記がてら書きたい事を好き勝手に書いています。 小説を書いており面白い小説がかけるようになりたいと、構成などはちゃめちゃですが書いてます。 読んで頂けると嬉しいです。どんな事でも意見貰えると助かります。

籠り物語

フロントへ行くなり
「雪村君さすがに口のピアス外して」
卓は、はっとして直ぐに取り外す。あまりにもバタバタしていたため初顔合わせの瞬間すらつけたままだった事に今気がついたのだ。


「すいません」
素直に頭を下げる卓に
「履歴書あんな真面目そうな顔やったから来た時びっくりしたわ、詐欺やで」
と笑いながら冗談を交えて注意した。
「まさか口に穴空いた子来る思わへんかったから」と居心地悪そうにしている卓に気を遣ってくれていた。

 

フロントには卓と同じぐらいの歳の男がもう一人居た。
名古屋から来て先に神戸屋のバイト生活を始めていたタカシだった。
「はじめまして雪村卓です、これからよろしくお願いします」
卓が挨拶を交わすと、タカシも
「タカシです、よろしくお願いします」

「ん?したの名前だけ?」と少し疑問に思ったが卓という人間は呆れる程に他人に興味が無い人間であったため対して気にも留めなかったのだ。

 

「そこの廊下の左の扉入ったら厨房やから、そこにやっちゃん居るから行って」
チカさんにそう支持され二人は厨房へと向かった。


扉を開け厨房用のスリッパに履き替え、振り替えるとレストランの厨房の様な作りで、一人の男性が換気扇の下でタバコの煙を漂わせて立って居た。
この男性がやっちゃんであり、チカさんの旦那さんである。

 

「挨拶はっ!」
息つく間もなく浴びせられた言葉に二人は咄嗟にピシッと背筋を伸ばし
「あっ、おはようございます」
と頭を下げた。
勢いよく怒られるのかと身構えたがやすゆきさんは黙って
「うん」と頷くだけだった。

 

なんだか肩透かしをくらった気分だったが卓はすかさず
「今日からお世話になります雪村卓です、よろしくお願いします」
と再び頭を下げる。
「よろしく、|富士崎 康之《ふじさき やすゆき》です、挨拶は基本やからな、ちゃんとしろよ」
やはり怒っていた。
「すいませんでした、気をつけます」

 

挨拶は基本、怒られるのは当たり前なのだが、初顔合わせで緊張もあり、つい常識的な礼儀を欠いてしまった事に卓は反省した。
同時に、タカシは初日ではないはずなのに、何故あいつも…
卓はそんな疑問を感じながらも、もしかして…という少しの違和感を感じていた。